kimi-panのブログ

小児アレルギー専門医が食物アレルギーを栄養学で治す事に挑戦している診察室

プロテインは薬だと思え!!

おひさしぶりです!!

栄養療法を取り入れた食物アレルギーの治療を開始してから2年経ちました。やはり食物アレルギーの子供たちの栄養状態には偏りがありそうです!!その中でもやはり基本になるのはタンパク質の摂取ですね!!でも、なかなか量は食べられない子が多く、そんな子たちにはプロテインを勧めますが続かない子も多くいました。

 

そんな時にあるお母さんが名言を残しました!!

プロテインは薬だと思えば美味しくなりますよ!!美味しいプロテインを探したけど、ほとんどないのでプロテインに美味しさを求めてはダメなんです!!」

 

なるほど!!!確かに美味しさを求めがちでした(笑)。

 

薬は毒でもありますが、プロテインやサプリは毒ではないですからね!!なのに、使うことに抵抗のある保護者の方々が多いこと!!薬は希望されるのに…。なんて思っていた自分には眼から鱗の名言でした!!

 

なので、タンパク不足のお子さんには積極的に薬と思ってプロテインを摂取させてあげてくださいな。薬よりは美味しいはずです(笑)!!

第6の栄養素

今までタンパク質・脂質・糖質・ビタミン・ミネラルの五大栄養素のバランスや必要性について書いてきましたが、ここでもう一つ大事な栄養素を追加します!!

 

それは、食物繊維です!!

 

食物繊維には大きくわけて水溶性と不溶性があります。どちらも大事ですが、とりわけ大事なのは水溶性の方です。水溶性食物繊維はさらに発酵性と非発酵性にわけられます。水溶性発酵性食物繊維が分解されることで短鎖脂肪酸が産生され、これにより乳酸菌やビフィズス菌などの増殖を促進し、腸内環境を改善するとされています。

 

最近では、腸内環境の変化が卵アレルギーを引き起こしてる可能性があるともいわれています。なので、善玉菌を増やして腸内環境を良くすれば、アレルギーにもいい影響があるかもしれません!!

 

下記を参照してぜひ食物繊維を摂取してください。目標量は成人男性21g/日以上、成人女性18g/日以上です!!

 

【食物繊維の分類】

①水溶性発酵性食物繊維:イヌリン(ごぼう・にんにく・玉葱)、βグルカン(きのこ・大麦)、フラクオリゴ糖、ガラクオリゴ糖

 

②水溶性非発酵性食物繊維ペクチン(果物)、アガロース(寒天)、フコイダン(もずく)、カラギーナン(海藻)、アルギン酸ナトリウム(昆布)

 

③不溶性非発酵性食物繊維:キチンキトサン(甲殻類

スゴイ親御さん

1年ぶりの血液検査をして今まで認めていた食物の数値の上昇が完全に改善した子がいました。

 

栄養状態チェックでも、私が意識している項目をビタミンA以外はクリアしていました。

 

普段の食生活について聞いてみると、父親が食に厳しく、ほぼ外食なしで朝食と夕食はタンパク質をしっかりとる一汁三菜を意識しているとのことでした。ビタミンAはレバーに多いことを伝えると帰りに買って帰りますと笑顔で言って帰りました!!この行動力が大事なんだなぁーっと実感しました。そして日々の食事の重要性も再認識できました!!

 

こんな飽食の時代ですが、今一度食事内容を確認してもらえると小児科医として嬉しいです。

アレルギー管理指導表

アレルギー疾患がある保護者の方々なら聞いたことのあるアレルギー管理指導表!!

 

年度末には必ず記載することを学校から言われると思います。私のところにも2月から3月にかけて多くの方々がアレルギー管理指導表の記載を目的にして来院されます。

 

このアレルギー管理指導表なんですが、除去を開始すると解除するために負荷試験が必要になります。なので、よくわからない状態の場合は記載する前にきちんと相談した方が後々問題にならないと思います。費用もかかるものなので、きちんと記載してもらうようにしましょう!!

食物アレルギーの保護者あるある

もうすぐ新学期になりますがこの時期になると、新学年のアレルギー管理指導表の記載希望の方々がたくさん受診されます。

 

半年から1年ぶりに会う子供たちもいて、成長の早さに驚く親戚気分にもなります😊。

 

そんな時によく保護者の方々と話すのは、食物アレルギーがあるとどうしても安全に食べられる同じ物だけを食べさせてしまいがちになるということです。誤食をさせないという点では非常に良いことである反面、栄養摂取という点においてはどうしても偏りが出てしまいます。血液検査を元に足りない部分の話をすると大体当たっていることが多く、腕の良い占い師状態になっています😆

 

安全に食べさせることは大事ですが、栄養素をしっかり摂ることも大事です!!保護者の方々のストレスにならない範囲で意識してもらえると非常に嬉しいです。

 

 

食物アレルギー児の保護者の一言

「自分がやれることがあって良かった」

保護者の方々が言ってくれた凄く心に響いた一言です。

 

私は食物アレルギーのある子供たちの保護者の方々には、今まで①誤食をさせない②皮膚を綺麗に保つという2つのことをお願いしていました。そうすると保護者としては子供の食物アレルギーために何かをしてあげてる実感があまりなかったのかもしれません。私自身も時間の経過とともに良くなることや安全な量を摂取してもらうことで良くなることを期待して待っていました。

 

しかし実際には良くなる子とそうでない子がいて、なかには食物傾向負荷試験もできない子もいました。そういう子達に何かできることがないかを探してたどり着いたのが栄養療法です!!ちゃんと栄養を摂ることで体質を変えてみようと挑戦しています。

 

2020年9月から開始してもうすぐ半年経ちますが、食物アレルギーの特性なのか栄養状態が良くない子がほとんどです。食事も立派な投資です!!習い事も大事だと思いますが、日々の食事を気にかけることも大事です。そしてそれができるのは子供たちと一緒にいる保護者の方々だけなんです。

 

このような説明をした時によく言われるのが、1番最初の言葉です。保護者の方々はやはり一所懸命に考えているんだなぁと再認識させられます。食物アレルギーを持つ子供たちの保護者の方々で何かまだ子供のためにできることがあるのではないかと考えている人は、ぜひ追加して栄養療法もやってもらえるといいです子供たちのためにやれる事はまだまだあります。少しずつでもいいので試していってくださいね。

花粉-食物アレルギー症候群

今年もスギ花粉の時期になりましたね。

この時期は花粉症状がひどくて大変な人も多いかと思います。

 

花粉症がある人(もしくは花粉に感作のある人)がなる口腔アレルギー症候群を「花粉-食物アレルギー症候群」といいます。

この病気は、食べた物自体が問題ではなく、食べた物を体が花粉だと勘違いして症状が出てしまう病気です。

 

有名なものだと、スギ花粉-トマトやシラカンバ・ハンノキ花粉-リンゴ・モモ・ナシ・ビワ・キウイ・大豆などがあります。

 

基本的な症状は、口や喉の痒みです。

ただし、豆乳やスパイスなどは全身に症状が出ることもあるので注意が必要です!!

 

治療は花粉症が原因なので現状ではアレルギー薬の内服しかありません。

 

その他の対処としては、野菜やフルーツは加熱すれば食べられることが多いので、生のトマトやリンゴを食べると口の中が痒くなる人は、ミートソースやアップルパイなら食べることができることが多いです。

 

この病気は個人差があるので、信頼できる主治医と相談して検査や食物除去をするといいですよ。