kimi-panのブログ

小児アレルギー専門医が食物アレルギーを栄養学で治す事に挑戦している診察室

脂肪酸

次に脂肪酸です。

タンパク質が体をつくる原料なら、脂肪酸は体を動かすエネルギー源です。

 

エネルギー源というと糖質を思い浮かべる人が多いと思いますが、エネルギーをATP(アデノシン3リン酸)と考えると、脂肪酸は糖質のおおよそ3.4倍も多くATPを作れます!!これを使わないのはもったいないですよね?ATPについては今後書きます。

 

今回は脂肪酸について記載します。

脂肪酸は油の主成分です。

脂肪酸には、大きく分けて飽和脂肪酸不飽和脂肪酸があります。

 

そして各々が下記のように分類されます。

飽和脂肪酸:長鎖・中鎖・短鎖

不飽和脂肪酸:オメガ3(多価)・オメガ6(多価)・オメガ9(一価)

 

この中で小児が摂ったほうがいいと個人的に考えているのは、中鎖脂肪酸とオメガ3とオメガ6(アラキドン酸)の3つです!

 

中鎖脂肪酸はいわゆるMCTオイルです。この脂肪酸は他の脂肪酸と比べて素早く分解されるので短時間でエネルギーになります!なので、脂肪酸の中でも出来るだけ中鎖脂肪酸をエネルギー源にした方がいいと思っています。実際に私は朝食のプロテインコーヒーにMCTオイルを小さじ3杯入れて飲んでいます。子供にはプロテインスムージーにして小さじ1〜2杯入れるといいと思います!

 

オメガ3系脂肪酸は、魚やクルミエゴマ油やアマニ油に含まれています。

オメガ3系脂肪酸には、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)やα-リノレン酸があります。

EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)は青魚(イワシ・サンマ・ブリ・サバ)に多く含まれています。

α-リノレン酸クルミエゴマ・アマニに多く含まれています。

普段から青魚やクルミをとる習慣があるとより良いですね。

しかし現在、小児アレルギーをやっているとクルミアレルギーの子が増加している印象があるのでクルミの摂取で症状が出る場合は小児科受診を必ずしてください。クルミアレルギーがある場合は青魚でオメガ3系脂肪酸を摂ったり、エゴマ油やアマニ油を納豆や豆腐にかけて摂るといいでしょう。

 

オメガ6系脂肪酸は、大豆油・ゴマ油・サラダ油・卵黄・豚レバー・サバなどに含まれています。オメガ6系脂肪酸には、リノール酸とアラキドン酸がありますが、私が大事だと思っているのはアラキドン酸です。アラキドン酸は卵黄・豚レバー・サバに多く含まれていて、乳児の脳の発達にも必要なため母乳にも含まれています。一方で、リノール酸はお菓子やカップ麺やマヨネーズなどの加工食品に多く含まれているので、オメガ6系脂肪酸として摂取が多くなっている事に注意が必要です。

 

オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸の割合は1:2がいいとされています。しかし、現代の日本人は1:7~10くらいになっているといわれています。オメガ6系脂肪酸は摂取過多だと免疫細胞が働きにくくなるといわれており、オメガ6系脂肪酸の摂取過多が子供のアレルギー患者を増やしている原因の1つかもしれないと個人的には思っています。

 

もうひとつ気をつけてもらいたいのは、トランス脂肪酸です。これには天然のものと人工のものがあります。天然のものは牛肉や牛乳や羊肉に含まれています。問題なのは、人工のもので、これは常温で液体の植物油と魚油に水素添加して個体の油脂をつくる際にでき、マーガリン・ショートニング・ファストスプレッドに多く含まれています。これはとる必要が全くない脂肪酸なので、海外の多くの国では規制がかかっています。しかし、日本では色々な理由をつけて規制をかけずにいます。この脂肪酸もいろいろな健康障害の原因と考えられており、アレルギー疾患との関連も疑われています。マーガリンやショートニングも菓子やパンなどの加工品に含まれているので注意が必要かと思います。

 

エネルギーになる脂肪酸(脂質)ですが、種類が多いので選択が難しいと思いますが、迷った場合は油としておすすめなのはGhee(ギー)です。これには上記ですすめた成分が多く含まれているので、他の油よりもお勧めです。長鎖脂肪酸が約50%含まれているので、多量摂取は注意ですが、1日5g摂取するといいかと思います。前回おやつと紹介した卵焼きや焼き鳥をgheeを油として使い作るといいのではないでしょうか?

1日1回はGheeを使った卵焼き(ギーたま)か卵アレルギーがある場合はGheeで炒めた鶏肉(ギーとり)をお子さんにぜひ!!