kimi-panのブログ

小児アレルギー専門医が食物アレルギーを栄養学で治す事に挑戦している診察室

いい例え

先日外来である保護者の方から、

「タンパク質ばっかり食べていいんですか?」

と質問されました。

 

「まずタンパク質を十分摂って欲しい」という気持ちが強すぎてしまい、保護者の方を逆に不安にさせてしまっていると思いました。

 

その瞬間こんな例えを言いました。

「タンパク質を摂らないで他の栄養を摂ることは、卵がないのに卵焼きを作ろうとしているようなものですよ」

保護者「え?」

「最高の油や調味料やフライパンやコンロを準備しても、卵がないと卵焼きは作れないですよね?」

保護者「確かに」

私「タンパク質は卵の役割なんです。もちろん、油や調味料やフライパンやコンロも大事ですけど、卵がなければ作れないんですよ。卵を用意してから、他の必要なものを準備すればいいんですよ

保護者「なるほど。タンパク大事ですね!やってみます」

私「よろしくお願いします!!」

 

我ながらいい例えができたので、ちょっと自慢させてもらいました😊

 

以前に記載したように、子供は体重×1.5g/日のタンパク質を摂取することから意識してください。それができたら、ビタミン・ミネラルも意識するようにしてみましょう!!

亜鉛

亜鉛は200種類以上の代謝に関係していると言われています。

 

最近はコロナウイルス感染症味覚障害が言われていますが、実は軽度の亜鉛欠乏でも味覚障害はでます!!

 

欧米では、鉄よりも亜鉛欠乏の方が問題になっているほど重要なミネラルです。なぜかというと、亜鉛はDNAやタンパク質の合成や糖代謝・アルコール代謝や免疫力の調整など様々な働きがあるからです!!

 

また、有害金属(水銀・カドミウム)の体内への吸収を防ぎます!!水銀はマグロなどの大型魚類に含まれていますし、カドミウムは小麦・大豆・米に含まれています。亜鉛が不足していると、これらを体内に吸収してしまうので注意が必要です。

 

亜鉛が含まれる食物代表は下記の通りです!!

牡蠣(100g):13.2mg

豚レバー(100g):6.9mg

牛肉(100g):部位によって3.1〜4.9mg

ピュアココア(100g):7mg

ごま(100g):5.9mg

 

亜鉛の推奨量は、

男性:11.0mg/日

女性:8.0mg/日

(分子栄養学では、25mg/日)

 

25mg/日を常に超えてしまうと、鉄や銅の吸収を妨げることがあるので取りすぎにも注意してください!!

 

 

鉄は、ATPという生きるために必要なエネルギーを作る際に必要な栄養素です。また、赤血球や神経伝達物質セロトニンドーパミン)を作る際にも必要です!!

 

食物に含まれる鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄があります。

ヘム鉄が含まれる食物の代表は下記です!!

牛もも赤(100g):2.7mg

豚レバー(100g):13mg

鶏レバー(100g):9mg

しじみ(100g):4.3mg

あさり(100g):3.8mg

 

非ヘム鉄が含まれる食物の代表は下記です!!

卵黄(100g):6mg

油揚げ(100g):4.2mg

ひじき(100g):6.2mg

小松菜(100g):2.7mg

ほうれん草(100g):2mg

 

ヘム鉄の方が体内への吸収が数倍高いのが特徴ですが、非ヘム鉄もビタミンCと一緒に摂ると吸収が良くなります。

 

 

体内の鉄の欠乏は、ヘモグロビンの低下やフェリチンの低下で判断します。ヘモグロビンの低下はいわゆる貧血なので治療が必要になることが多いです。私は外来でヘモグロビンの低下がなくても、フェリチンが30ng/mlより下の値の場合は鉄を意識して摂るように指導します。目標は50ng/mlと言ってます!!

 

鉄の推奨量は、

月経ない女児:6.5mg/日

月経ありの女性:11.0mg/日

男:7.5mg/日

となっていますがフェリチンの値を参考にして、意識的に摂ったほうがいいかを判断するといいと個人的には考えています。私の外来では、食物アレルギーがある場合は栄養の評価で必ずチェックすることにしています。特殊な検査ではないので血液検査ができる医療機関であれば検査は可能です。

 

上記の食材をあまり食べないという人は1回は測定してみてもいいと思います。

 

卵アレルギー

卵は3大アレルゲンの1つです!!

 

0〜6歳までに発症する食物アレルギーの中で、現時点では1番多いとされています!!

 

卵アレルギーの大部分は卵白成分に対するアレルギーと言われています!!実際に血液検査で卵黄にかなり高い数値が出ていても、経口負荷試験すると卵黄のみは食べられることが多いです。

 

しかし、外来には固ゆで卵の卵黄でも症状がでたということで受診する方も多くいます。

その際に私が確認するのは、ゆで卵の黄身と白身をすぐ分けたかどうかです!!ゆで卵を作ってから時間をおいておくと、白身成分が黄身に染み込んでしまい、黄身を食べているのに白身を食べていることになり、アレルギー症状が出ることがあるので、その確認をまずします。すぐに白身と黄身を分けて食べさせている場合は、血液検査をして数値のチェックをします。数値が高く出ている場合は暫定的に卵アレルギーと説明し、数値が出ていなくてアレルギー症状が嘔吐や下痢だけの場合は消化管アレルギーと説明しています。消化管アレルギーは一般的なアレルギー検査ではわからないので、この病気を知らないとほっておかれる事もあります!!

 

どちらにしても3ヶ月から半年の時間おいてから、血液検査と経口負荷試験をして確認させてもらっています!!

 

離乳食で卵を開始した際に何か症状が出て悩んだ場合は小児科受診してください。

 

 

 

ナッツ類

皆さんはナッツと聞くと何を思い浮かべますか?

 

ピーナッツ・カシューナッツ・ヘーゼルナッツ・マカデミアナッツ・ブラジルナッツ・ココナッツ・ペカンナッツあたりでしょうか?

 

ではまず、ナッツとはなんなのか?

ナッツとは、『硬い皮や殻に覆われた食用の果実のこと』です!!

 

そうすると、ピーナッツ・カシューナッツは厳密にはナッツではありません。千葉県の方々はピーナッツがナッツではない事はよくご存知かもしれませんが、ピーナッツは豆科なので大豆に似ています!!カシューナッツは果実の外部先端になる種子の部分なので、上記の定義とは異なりますね!!

 

ただし、名前が似ていることもあり日本ではナッツ類として含まれていることが多いです。そのため、ピーナッツアレルギーがあると他のナッツ類も全て除去されていることがあります。

 

私のアレルギー外来にもピーナッツアレルギーの子がナッツアレルギーとして紹介されてきますが、私のいる施設で血液検査・負荷試験をしたところ、ピーナッツアレルギーがあっても他のナッツ類は摂取できることが多いです!!

 

現時点で注意するのは、クルミアレルギーの人はペカンナッツにほぼアレルギーが出るという事とカシューナッツアレルギーの人はピスタチオにほぼアレルギーが出るという事です。それ以外のナッツ類は血液検査・経口負荷試験をしてみないとわからないので、まとめて除去しないようにしましょう!!

 

そういう方はぜひ小児科を受診し相談してくださいね。

ビタミンE

ビタミンEは、8種類の物質の総称です。その中で1番活性が高いものがα-トコフェロールで、体内にも1番多くあります。

 

ビタミンEの働きで代表的なものは、抗酸化作用です。抗酸化作用とは、細胞や脂質などが酸化することを防ぐことです。あと、ビタミンBとCの効果を高める作用もあります!!

 

ビタミンEの不足は、貧血やしびれなどの神経症状がみられることがあります。これらの症状がある場合は自分の食生活を振り返ってみてもいいかもしれません。

 

 

子供の1日当たりの摂取量は下記の通りです。

0〜15歳:6.5mg/日

(分子栄養学では天然型のもので134mg/日)

800mgを超えても過剰症状がでることはなかったとの報告があるので、過剰になることは意識しなくても良さそうです。

海外製のサプリメントはIUで表されていることが多いので、μgへはIU×0.67で計算し変換してください。

 

ビタミンE(α-トコフェロール)を多く含む食品は下記の通りです。

アーモンド(100g):30.3mg

ピーナッツ(100g):10.1mg

あゆ(100g):5mg

うなぎのかば焼き(100g):4.9mg

 

上記をなかなか摂るのが難しい方はサプリメントでもいいので、ぜひ試してみてください!!

 

 

ビタミンD

ビタミンDには、植物性のD2と動物性のD3があります。

 

ビタミンDの働きとして代表的なのは、骨を作る事と血液中のカルシウムとリンの濃度を高く維持する事です。

 

私は低身長の子や食物アレルギーの子には、ビタミンD不足の可能性もあるため、25OHビタミンDという項目を調べています。この数値が20ng/mL以下だとビタミンDが不足している可能性が高いと判断し、ビタミンDを多く含む食材を紹介しています。

 

ビタミンDは日光にあたることで皮膚でもビタミンD3が作られますが、最近は赤ちゃんの時から日焼け止めを使用することも多く、外遊びもできない状況でもあり、ビタミンDが不足していることが多い印象です。

 

子供の1日当たりの摂取量は下記の通りです。

0〜15歳:5.5μg/日

(分子栄養学では37.5μg/日)

ビタミンDの単位はμgもしくはIUで表されています。IUは国際単位になり、日本ではμgで表されていることが多いです。なので海外製のサプリメントを使用する場合はIUで表記されているので、μgへ変換すると量がわかりやすいです。μgからIUへ変換する場合はμg×40、IUからμgへはIU×0.025で計算できます。

ビタミンD脂溶性ビタミンなので、過剰に摂ると、血液中のカルシウム濃度が高くなり過ぎることがあるので注意が必要です。

ただし分子栄養学の推奨量までは摂取していいと思うので、日焼け止めを常用している人などは意識して摂るといいでしょう。

 

ビタミンDを多く含む食品は下記の通りです。

アンコウのきも(100g):110μg

きくらげ(100g):85.4μg

鮭(100g):32μg

いわし(100g):32μg

うなぎ(100g):19μg

しいたけ(100g):12.7μg

卵黄(100g):5.9μg

 

ビタミンDは液体で摂れるものがあるので、不足している場合は何歳からでも補充可能です!!あとは、天気の良い日に適度なお散歩とかも良いですね。