kimi-panのブログ

小児アレルギー専門医が食物アレルギーを栄養学で治す事に挑戦している診察室

新型コロナウイルス感染と食物アレルギー

新型コロナウイルス感染が認められてから、1年が経ちました。

 

私たちの生活も大きく変わりました。その変化の中の1つに病院受診の仕方も含まれます。不急の検査や手術などを控えるようになりました。

 

私の勤めている病院でも新型コロナウイルスの対応をしていますが、その代わりに食物経口負荷試験ができない状況です。

 

不急の検査という判断でしょうが、子供にとっての数ヶ月は非常に大事な時間です。できる限り早く再開しようと思っていますが、感染のリスクもあるためなかなか再開できません。

 

保護者の方々も大変だとは思いますが、このような時こそしっかり栄養を摂るチャンスだと考えてもらい、栄養療法にトライしてみてください!!

 

食物経口負荷試験ができる施設が近くにある方々は感染防御して、しっかり検査を受けてください。

 

知りたいアレルギーのことがあれば、コメント頂けると助かります!!

 

 

 

 

納豆アレルギー

大豆アレルギーの方はご存知かもしれませんが、大豆はアレルゲンの種類が多いので、食べられる大豆製品と食べられない大豆製品が大豆アレルギーの方々それぞれに違う事が多いです。しかし、発酵や長時間(4時間以上)加熱するとアレルギー性が下がると言われているので、醤油や味噌や納豆などは比較的安全に食べられると言われています。

 

それなのに納豆にだけアレルギーがある方々がいます。これは大豆アレルギーではなく、ポリガンマグルタミン酸(以下PGA)が原因だからです。PGAは納豆のネバネバした糸を引く白い部分の主な成分です!!だから、通常納豆アレルギーの人は大豆製品を食べられます。今回は納豆アレルギーについてお伝えします。

 

納豆アレルギーの特徴は2つあります!!

 

1つ目は、時間が経ってから症状が出現することです。IgE型の一般的な食物アレルギーは食物を摂取してから数分から長くても3時間以内に症状が出てきますが、納豆アレルギーは同じIgE型の食物アレルギーにも関わらず、納豆の摂取から半日程度(6〜12時間)後に症状が出てきます!!なので、原因として考えられる事が少ないです。

 

2つ目は、マリンスポーツ経験者に多いことです。特にサーフィンが報告された例の80%以上を占めています。これには、クラゲが関係しています。クラゲの触角の中でPGAが作られており、クラゲに刺されることでPGAが皮膚から体内に入ることで感作され(経皮感作)、その後納豆を食べることで食物アレルギーが発症すると考えられています。ただし、小児ではマリンスポーツをやっていなくても発症していることもあり感作経路が不明のこともあります。この理由としては、PGAは化粧品・健康食品・スポーツドリンク・紙おむつなどさまざまなものに含まれているので、知らずに感作されている可能性があるからです。

 

納豆アレルギーは診断が困難なため見逃されてる可能性もあるので、原因不明な食物アレルギーの場合は検討してもいいかもしれません!!

 

知りたいアレルギーのことがあれば、コメント頂けると助かります!!

 

 

クリスマスプレゼント

10月上旬に栄養指導させてもらった9歳の男の子が12月25日に最高のプレゼントをくれました!!(内容は下記)

 

男の子:「プロテイン飲んでるよ!!それにアトピー性皮膚炎が今までで1番良くなっている!!」

男の子の母:「プロテインすごいですね!!」

私:「プロテイン、何味飲んでるの?」

男の子:「ココア味」

私:「一緒やん」

男の子の母:「なんか身長も伸びてて、栄養失調だったんですねー」

私:「確かに大きくなった気がする!!首と関節部分の赤みもほとんどないし!!」

私:「実は病院に内緒で栄養のブログやってるんだけど、このこと書いてもいい?

男の子:「いいよ!!」

男の子の母:「アトピー性皮膚炎で悩んでる人のためになるからいいですよ。ところで読者いるんですか?」

私:「んーどうだろう?そのうち、栄養のことが一般的になればバズるかも(笑)」

3人:(爆笑)

私:「ビタミンCもよろしく!!」

男の子:「ビタミンCはまだ取れてないから、これからね」

 

こんなクリスマス最高でした!!

ぜひタンパク質の摂取を意識してみてください!!

 

最高のクリスマスプレゼントありがとう!!

 

 

足りてないことが多い項目

3ヶ月間担当させてもらっているアレルギーのある子供たち(特に食物アレルギー)の血液検査をしてみて、おおよその食事状態がわかってきました!!

 

まず1番の問題点は炭水化物(糖質)の摂取が多いことです!!これは全員そうでした!!ご飯は美味しいので気持ちはわかりますが、意識的に減らすようにした方がいいと思います。

 

そのため、必要なタンパク質の摂取が少なくなることが問題になります。タンパク質の摂取に関しては摂取できている子もいましたが、ごく少数です。私の説明後にプロテインを開始した子もいます。朝ごはんがあまり食べれないお子さんはぜひ朝ごはんとしてプロテインを飲むようにしましょう。

 

そして色々な項目を検査していて、アレルギー検査の数値の改善があまり良くならない人たちに共通する項目がある事がわかってきました。それは、鉄・ビタミンDです!!この2つとも足りてない場合は、アレルギー検査の数値の改善があまり良くならない印象です。

 

検査結果があまり改善しない人は、タンパク質を充分摂取した上で、鉄とビタミンDを意識するといいと思います。

 

他にも気になる項目がでてくれば更新していきます。

 

 

牛乳アレルギー

牛乳も3大アレルゲンの1つです!!

 

牛乳は、水分(87%)・タンパク質(3%)・脂肪(4%)・乳糖(5%)・ビタミンとミネラル(1%)くらいの割合でできています。

その中のタンパク質がカゼイン(80%)とαラクアルブミン・βラクグロブリンラクトフェリンなどのホエータンパク質(20%)に分けられます。

ちなみに、ホエーとは牛乳から脂肪とカゼインを取り除いたものをさすので、ホエータンパク質と水分と乳糖とビタミンとミネラルが含まれています。

 

牛乳アレルギーの大部分はカゼインという成分に対するアレルギーです。その他のαラクアルブミン、βラクグロブリンラクトフェリンなどの成分にアレルギーがあることもあります。

 

カゼインが厄介なのは、加熱で変化しないところです!!その他のαラクアルブミン、βラクグロブリンは加熱で変化するので、これらのアレルギーの場合は、ホットミルクにすると飲める可能性が高いです。また、バターにすると乳タンパク質の含有量が減ります。なので、牛乳1ml飲めれば、バター2gの摂取が可能です。さらに、バターから水分と乳タンパク質を除いたものが、ギー(ghee)といわれるピュアオイルです!!タンパク質はバターの1/5未満なので、牛乳1ml=バター2g=ギー約10gと考えられます。バター2gでは少ないよって保護者の方はギーをバター代わりにしてもいいかもしれません。ただし、クセは強いです😅

 

牛乳も卵アレルギーで記載した消化管アレルギーを起こします。卵よりも牛乳の方が起こす可能性が高いです。一般的なアレルギーの血液検査で数値が出ていなくてアレルギー症状が嘔吐や血便・下痢などの消化器症状だけの場合は消化管アレルギーと説明しています。消化管アレルギーは一般的なアレルギー検査ではわからないので、この病気を知らないとほっておかれる事もあります!!

 

どちらにしても3ヶ月から半年の時間おいてから、血液検査と経口負荷試験をして確認させてもらっています!!

 

離乳食で牛乳を開始した際に何か症状が出て悩んだ場合は小児科受診してください。

 

嬉しかった事2

栄養指導をはじめてから3ヶ月が過ぎました。

 

子供の皮膚は1ヶ月で新しくなると言われています。だからと言って1ヶ月で栄養指導の効果がすぐ出るわけではなく、皮膚にも準備期間があるので、栄養指導を開始してからできた皮膚が表面に出てくるのには時間がかかると思ってました。

 

そんな時にこの間の外来で1ヶ月前からタンパク質+ビタミンCを意識して摂るようになったアトピー性皮膚炎の子とその保護者の方が、

「背中の発疹が良くなってきた気がする」

と言ってきてくれました!!実際に診察しても凹凸が改善してきていました。もちろん、保湿剤+ステロイドをなる治療は行っていたので、両方きちんとやる事で効果がより良くなると個人的には感じました!!

 

分子栄養学では、アトピー性皮膚炎には元々効果があると言われていましたが、現在の医療と組み合わせるとより良くなるのではないかと思いました。

食物アレルギーへの対応

現時点で行われている一般的な食物アレルギーへの対応は大きく分けて下の2つだと個人的には思っています。

 

①安全に摂取できる量を定期的に食べる。

②皮膚状態を良くする。

 

この2つに加えて大学病院や専門病院などの研究施設では、経口免疫療法が行われています。①に関しては経口免疫療法(緩徐法)と混同されている事も多いので注意が必要です!!経口免疫療法は安全面や予後からまだ一般的な治療方法としては認められていないのが現状です。他にもパッチを使用した経皮的免疫療法も行われていますがこちらも日本では一般的な治療方法としては認められていません。

 

そうなると食物アレルギーへの対応は、血液検査をして食物経口負荷試験をしての繰り返しで、その間は皮膚を健康に保ち誤食しないように注意することを続けることになります。おそらく3ヶ月から半年おきに検査をすると思いますが、その期間を有意義に使って欲しいという思いから栄養指導を開始しました。

 

現在、私が個人的に考えている食物アレルギーへの対応は3つです!!

①安全に摂取できる量を定期的に食べる。

②皮膚状態を良くする。

③栄養をきちんと摂る。

 

③に関してはいわゆるバランスよくではありません!!必要な栄養素を必要な分だけきちんと摂るってことです!!それぞれの栄養素の必要量は前のブログを読んでもらえるといいと思います。注意点としては現時点でのお子さんの状態によって必要なものが変わる可能性があるので、血液検査で評価してもらってからがいいかと思います。

 

食べ物に対する意識が変わるだけでも成長していると考えて行動してみてください!!